日当たりの良い真昼の食卓はにぎやかで、健やかだと思う。身ぶり手ぶりを 駆使し、一人果敢に、明るく昨日、今日、一日の出来事とその感想を事細かに 報告するレンと、それを混ぜっ返し、笑わせながら更に自分の近況を織り交ぜ て、上手に伝えるコウの様子に今日も舌を巻く。 ___やっぱり、だてに歳、くっていないよな。話が上手だよな。 そう素直に感心するのだ。 ___オレにはちょっと出来ない芸当だよ。 コンナマシンガントークニナンカ、入ッテ行カレヘン。 もしかすると瞬一は一人の時間が長過ぎたのかも知れない。慣れていないため に、他人が交わす会話のペースが読めず、必然的に加わり難いのだ。 ___縄跳びみたいなもんだよな。お入んなさいって言われたって、急には 入れないんだよ。間がわからないから。 それにしても、なぜ、二人はあんなに素早く口を動かし、喋りながら、その 口で食事も出来るのだろう? 不思議ヤデ。 有リ得ヘンデ、ソンナコト。 二人の楽しいが、騒々しい話術に目を細め、楽しげに耳を傾けるタカシをチラ リ、と横目で盗み見る。 根気エエヨナ、タカシハ。 彼はうるさいとも、煩わしいとも思わないらしい。 ___二人共、可愛いんだろうな、やっぱり。 長い付き合いの二人は、タカシにとっては弟のような存在なのかも知れない。 しかし。 ___天使とごまだれそうめん、ずるずる食べるオレって、どんなんだろ? 去年の夏は、確か。一人寂しく冷やし中華、食べ続けていたような。コンビニ のアレ。昼は学食で食べて、塾帰りにも食べてさ。自分でもちょっとおかしい な、って思ったり。でも、止めてくれる人なんていないから、結局、朝っぱら からまた食べたりとか、しちゃうんだよな。 振り返ってみると、やけに物悲しい思い出だ。 去年ノコトヤノ二ナ。 「こら、瞬一」 急に呼ばれ、ビクリと背筋を固めながら視線を向けると、レンが眉根を寄せ、 幾分、恐い顔を作って見せていた。 「何?」 「おまえ、サラダとか、他のも食えよ。野菜の小鉢には全然、手、付けてない じゃん?」 「食べてるよ」 「嘘だよ。減ってないじゃん? 特に、そのプチトマトのサラダ!」 、、、。 改めて見直すまでもない。減っていないのは当然だ。 ダッテ。 食ベテヘンカラ。 「オレは今、そうめんを食べてんの。楽しんでんの! こっちを食べ終わった ら、そっちも食べる。それでいいだろ?」 「逆切れかよ? 絶対、それ、思い付きだね。食う気なんか、全然、なかった くせに。不服ありげ〜に一回、突っついただけだったじゃん?」 「オレも見た。あれは“また出て来た。こんなの、食う気しねぇよ。一昨日、 来やがれ”って、不平不満の顔だった」 コウまで加勢するつもりらしい。 ___この御神酒徳利。 小さく、こっそりと毒突き、奮い立つ。 負ケテイラレヘン。 「だって、これ、変やで? おかしいやん? 何で、トマトにハチミツ掛けん ねん?」 「ちょっぴり、だろ? 大したことないだろ? それくらいのことでブーブー 文句を言わない。身体にいいんだよ。八百屋のおばちゃんが簡単レシピって、 わざわざ、メモまで書いてくれたんだから」 「そうだよ。間違いない」 「いいのはわかるけど」 「じゃあ、食え」 「今すぐ食え」 「だって、、、」 |
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